「支配人」という言葉は、ホテルや飲食店などの責任者を指す通称としてよく使われますが、会社法上の「支配人」は法的な権限が定められた特別な使用人です。株式会社において支配人を選任した場合、登記申請が必要になります。本記事では、支配人登記とはどのような登記なのか、申請に必要な手続き・書類・費用についてわかりやすく解説します。支配人の登記とは?支配人の法的な意味支配人とは、会社に代わってその事業に関する一切の裁判上または裁判外の行為をする権限を有する使用人のことをいいます(会社法第11条)。いわば会社から包括的な代理権を与えられた存在であり、取引先との契約締結や金融機関からの資金調達(融資など)を会社の代理として行う権限を持ちます。代表取締役が会社の「機関」として対外的に行為するのに対し、支配人は会社の「使用人」でありながら、特定の営業所において代表取締役に準じた広範な権限を持つ点が特徴です。支配人は代表取締役と同様に印鑑登録をすることができ、独自に取引の主体となることができます。支配人登記の目的と登記事項支配人は、本店や支店に置くことができます。どこに置いたかは「支配人を置いた営業所」として登記され、登記簿謄本にも記載されます。支配人選任登記の登記事項は次の2点です。支配人の氏名および住所支配人を置いた営業所支配人を置いた本店または支店に移転・変更・廃止があった場合には、それに伴い支配人を置いた営業所も移転・変更・廃止になります。このような変更が生じた場合にも、改めて登記申請が必要です。会社法施行前後での登記方法の変化会社法施行前(2006年以前)は、支配人はその支配人を置いた営業所を管轄する法務局に登記されていました。しかし会社法施行後は、本店を管轄する法務局に一括して登記されるようになり、支店の登記事項ではなくなりました。支店登記との違い支配人登記と混同されやすいものに「支店登記」があります。支店登記とは、会社が本店以外に設けた営業拠点(支店)を登記するものです。支店の設置・移転・廃止のいずれも登記事項となります。一方、支配人登記は「特定の営業所において包括的な代理権を持つ使用人を選任した」事実を公示するものです。支店を設けていない本店のみの会社でも支配人を置くことは可能であり、両者は異なる登記です。支配人の代理権が消滅した場合にも登記が必要支配人の代理権は以下の事由により消滅します。辞任解任支配人の死亡破産手続開始の決定後見開始の審判代理権が消滅した場合にも、速やかに支配人の代理権消滅の登記を申請する必要があります。支配人の登記に必要な手続き支配人の選任手続き支配人は、以下の方法で選任します。取締役会設置会社:取締役会の決議により選任取締役会非設置会社:取締役の過半数の一致により選任株主総会の決議は不要ですが、取締役会または取締役の過半数による決議を経ることが会社法上の要件です。この決議を経たうえで、法務局に支配人選任の登記を申請します。なお、支配人選任登記においては、他の多くの登記とは異なり選任日は登記されません。また、登記すべき期間(登記期限)も法定されていません。ただし、商業登記は会社の重要事項を公示することで取引の安全を図る制度であるため、選任後は速やかに登記申請を行うことが望ましいです。登録免許税(費用)支配人登記の申請には登録免許税がかかります。登記の種類登録免許税支配人の選任30,000円支配人の代理権消滅30,000円登録免許税は収入印紙を購入して申請書に貼付する方法が一般的です。支配人の登記の必要書類支配人選任登記の必要書類支配人を新たに選任する場合に必要な書類は以下のとおりです。① 登記申請書法務局に提出するメインの書類です。会社の商号・本店、登記の事由、登記すべき事項(支配人の氏名・住所、支配人を置いた営業所)、登録免許税額などを記載します。② 取締役会議事録(取締役会設置会社の場合)支配人選任を決議した取締役会の議事録です。支配人の選任について決議した旨、支配人を置く営業所について記載し、出席取締役および監査役が署名または記名押印します。③ 取締役の過半数の一致を証する書面(取締役会非設置会社の場合)取締役会を設置していない会社では、取締役の過半数の賛成があったことを証明する書面が必要です。取締役決定書と呼ぶこともあります。④ 委任状(代理人申請の場合)司法書士などの代理人が申請を行う場合は、会社代表者が作成した委任状が必要です。⑤ 印鑑届書(支配人の印鑑を登録する場合)支配人が印鑑登録を行う場合には、印鑑届書の提出が必要です。支配人の印鑑登録は義務ではありませんが、登録しておくことで支配人が契約書等に押印する際の信頼性が高まります。GVA 法人登記で変更登記の必要書類を自分で作成GVA 法人登記では支配人の登記申請書類の作成には対応していませんのでご注意ください。ただし、本店移転・役員変更・商号変更・目的変更・募集株式の発行・ストックオプション発行など、その他の変更登記についてはGVA 法人登記で対応しています。GVA 法人登記なら、変更したい情報を入力するだけで、登記申請書や議事録・その他の添付書類などの必要書類を自動作成できます。郵送申請や登記簿謄本の取得、収入印紙の購入をサポートするオプションも充実しており、手間・時間・費用のバランスを取りながら確実に登記申請を進めたい方におすすめのサービスです。支配人登記以外の変更登記手続きをお考えの方は、ぜひGVA 法人登記をご活用ください。