合同会社といえば、株式会社と並んでよく用いられる会社の形態ですが、株主総会や取締役会といった株式会社で見られる機関が無いなど、株式会社とはいくつかの点で異なっています。他方で株式会社と同様に目的を定める必要があり、目的の範囲内で事業を行なう点は共通しています。この目的については、会社成立後に変更するケースがあり、その場合に登記手続が必要となります。本記事では、主に自分で登記申請することを考えている方向けに申請方法や必要書類について解説します。GVA 法人登記のクーポン付メルマガを購読登記申請のタイミングは忘れた頃にやってくるものです。GVA 法人登記のメルマガでは、毎号割引クーポンを配布しております。登録フォームからぜひご購読ください。合同会社の目的変更とは?そもそも合同会社における目的変更とはどのようなものなのでしょうか。ここでは事業目的の意義や変更手続などについて解説します。設立時に定めた事業目的を変更する手続目的変更とは、会社の設立時に定めた事業目的を変更する手続のことです。会社の事業目的は会社設立時に定款で定め、登記簿に記載されます。つまり、事業目的は登記簿謄本(登記事項証明書)を取得すれば誰でも確認できます。誰でも確認できるため、事業目的は金融機関が融資や口座開設時に、取引先は取引開始時に、行政庁は許認可や補助金申請時といったタイミングで登記簿謄本に記載された目的を参照することがあります。目的に記載していない事業をやっていないか厳密にチェックされたり罰則があるのではと思われる方もいるかもしれませんが、会社法には罰則はありません。しかし、定められた事業目的と異なる事業を行なっていると、対外的に信頼を落とす可能性もあるため、実際の事業と登記簿謄本に記載されている事業目的は一致するようにしておくことが必要となります。合同会社設立時に一度決めた目的は変更、追加することが可能です。目的の変更・追加のためには定款変更が必要で、合同会社であれば原則として総社員の同意が必要となります。総社員の同意は、定款で別の定めを置いている場合には定款の定めに従うことになります。定款で別の手続を定める例としては、「総社員の過半数の同意」によるとするケースや「業務執行社員の過半数の同意」によるとするケース、「代表社員全員の同意」によるとするケースなどが考えられます。事業目的は登記簿には以下のようにリスト形式で記載されます。目的変更したら登記申請が必要目的変更の定款変更について社内で決議などの手続を経たら、登記申請が必要です。この登記申請手続は、決議をした日から2週間以内に行う必要があります。この期間を経過してしまうと、罰則として100万円以下の過料が会社の代表者に科される可能性があります。実際に高額の過料が科される可能性は高いとはいえませんが、1つのリスクとなるため注意が必要です。合同会社の目的変更の登記申請の流れ前述の通り合同会社において目的を変更するために定款変更を行なった場合には登記申請が必要となります。そこで、登記申請の流れについて解説します。目的変更を社内で決議する目的変更の最初のステップは社内手続を経て定款変更をすることになります。定款変更のためには原則として総社員の同意が必要となります。合同会社の場合、株主総会や取締役会といった機関が無いため、社員総会などを開催して総社員の同意を得る必要があります。総社員の同意によって定款変更を行なう場合、総社員の同意があったことを証明する証拠として、同意書を作成し、同意書へ各社員の記名・押印が必要となります。他方で、前述の通り定款によって別段の手続によることも可能です。例としては、総社員の過半数の同意とするケースや、業務執行社員全員の同意とするケース、その他には代表社員全員の同意とするケースなどが考えられます。このように原則通り総社員の同意による場合でも定款で別段の定めを置いたケースでも合同会社においては同意による定款変更がなされるため、同意があったことを証明する証拠として同意書が必要となります。同意書のひな形については後ほどご紹介します。登記申請書の作成定款変更のための社内手続が完了したら、次は登記申請です。登記申請のためには登記申請書を作成する必要があります。登記申請書には同意書を添付し、法務局へ持参するか郵送する方法によって申請を行います。登記申請の方法としてオンライン申請もありますが、オンライン申請は準備に手間がかかる点がデメリットとして挙げられます。そのため、登記申請の頻度が高いようなケースを除いては書類申請のほうが総合的な負担は小さくなるといえます。合同会社の目的変更の登録免許税合同会社の目的変更の登記のための登録免許税額は1件につき3万円です。目的変更では資本金額や会社の規模によっても金額は変わりません。登録免許税の納付方法としては、収入印紙を登記申請書に貼り付けする方法によるのが一般的です。合同会社の目的変更の必要書類・ひな形(テンプレート)本章では合同会社の目的変更を自分で申請しようと考えている方向けに、必要書類やひな形(テンプレート)をご紹介します。目的変更登記の必要書類目的変更登記のためには以下の書類が必要です。登記申請書登記申請書とは、法務局へ登記申請をする際に提出する書類です。登記申請書は後ほどご紹介するように法務局のWebサイトでフォーマットが公開されています。そのため、作成に当たってはこうしたフォーマットを参考にすると良いでしょう。総社員の同意書目的変更では原則として総社員の同意が必要になります。そのため同意があったことを証する書面として総社員の同意書の添付が必要となります。目的変更のための総社員の同意書に記載すべき事項として、定款第何条を変更したのか、変更後の目的はどのようになっているのか記載する必要があります。なお同意書には社員全員の記名・押印が必要となります。定款で「過半数社員の同意」や「業務執行社員の過半数の同意」などを定款変更の条件として定めている場合には過半数社員の同意があったことや業務執行社員の過半数の同意があったことを示す書面の添付が必要になります。定款定款変更について総社員の同意によらない方法を定めている場合には定款の添付も必要となります。委任状司法書士等の専門家に登記手続を委任する場合には委任状も必要となります。目的変更登記の必要書類のひな形(テンプレート)目的変更の必要書類については法務局のWebサイトからダウンロードできます。登記申請書も同意書もこれを用いなければならないという決まった書式があるわけではありませんが、作成する際にはこれを参考に作成するとよいでしょう。なおテンプレートはWord形式のひな形とPDF形式の記載例が用意されており、それぞれ以下の内容になっています。(Word形式のひな形)記載例(PDF形式)目的変更の総社員の同意書のテンプレート先ほどご紹介した法務局Webサイトでダウンロードできるひな形には同意書のテンプレートも掲載されています。同意書に記載すべき項目は以下です。件名(タイトル)文書の件名として「同意書」と記載します。定款変更する箇所の記載と変更内容定款の第何条を変更するのか、またどのように変更するのかについて記載します。引用する定款の条数などは正確に記載するようにしましょう。また、変更後の定款の目的事項も記載します。変更後の定款の目的事項を漏れなく記載するようにしましょう。同意する旨の文言変更する事について同意する旨の文言が必要となります。日付社員総会を開催した日など総社員の同意を得た日を記載しましょう。記名・押印全ての社員の氏名を記載し押印しましょう。定款変更のための手続を正しく行いスムーズな目的の変更の登記を合同会社の目的変更では定款変更が必要となります。定款変更においては総社員の同意で足りるのか、それとも定款で別段の定めを置いているのかによって行うべき手続が異なります。特に自分で登記申請をしようと考えている方は自社の定款をしっかり確認して手続を進めましょう。また、知識や経験がない場合や他の登記申請が同時に発生する場合などは、無理に自力でやろうとせずに弁護士や司法書士などの法律の専門家への相談することも有効です。