会社の役員が引っ越しをして住所が変わった場合、その事実を登記簿に反映させるための「変更登記」が必要になります。登記申請そのものは自分で行うこともできますが、手間や確実性を考えて司法書士に依頼する方も少なくありません。本記事では、役員住所の変更登記を司法書士に依頼した場合の報酬額と、登録免許税を含めた全体でかかる費用の相場について、株式会社・合同会社・有限会社の種類ごとに解説します。会社の役員住所は登記簿謄本に記載される会社の一定の役員については、氏名だけでなく「住所」も登記簿謄本(登記事項証明書)に記載されます。そのため、引っ越しなどで住所が変わった場合は、法務局に変更登記を申請して登記簿の内容を最新の状態に更新しなければなりません。登記簿に住所まで記載される役員は、会社の種類によって次のように異なります。株式会社:代表取締役合同会社:代表社員有限会社(特例有限会社):取締役株式会社では、取締役や監査役は氏名のみが登記され、住所が記載されるのは代表取締役だけです。これは、会社の代表者が誰でどこにいるのかを対外的に明らかにし、取引の安全を守るためです。したがって、代表取締役以外の取締役が引っ越しをしても変更登記は不要です。一方で有限会社(特例有限会社)は、代表権のない取締役も含めてすべての取締役の住所が登記されるため、代表でない役員が転居した場合でも変更登記が必要になる点に注意しましょう。合同会社では、代表社員(法人が代表社員の場合はその職務執行者)の住所が登記の対象となります。自分がどの立場に該当するのか分からない場合は、現在の登記簿謄本(登記事項証明書)を取得して、住所が記載されている役員を確認しておくと確実です。なお、会社の本店住所を社長(代表取締役)の自宅住所にしている場合は、代表取締役の住所変更登記だけでなく、会社の「本店移転登記」も別途必要になります。役員住所変更の登記申請にかかる費用・料金の内訳役員住所の変更登記にかかる費用は、大きく次の3つで構成されます。①司法書士への報酬登記申請書の作成や住民票などの添付書類の準備、法務局への申請代行を司法書士に依頼するための費用です。自分で書類を作成して申請する場合はこの報酬はかかりませんが、書類の不備があれば補正(訂正)も自分で対応する必要があります。なお、役員住所の変更登記は、株主総会の決議や議事録が原則として不要で、司法書士が扱う法人登記の中では最もシンプルな部類にあたります。そのため報酬額も比較的抑えめになる傾向があります。②登録免許税登記申請時に必ず納める税金です。役員住所の変更登記の登録免許税は、会社の種類にかかわらず以下のとおりで、資本金の額によって決まります。資本金の額が1億円以下の会社:1万円資本金の額が1億円を超える会社:3万円株式会社の代表取締役、合同会社の代表社員、有限会社の取締役、いずれの住所変更でもこの金額です。中小企業の多くは資本金1億円以下であるため、実際には1万円となるケースがほとんどです。登録免許税は、司法書士に依頼しても自分で申請しても同じ金額がかかります。③郵送費・交通費法務局へ書類を提出する際の郵送費や交通費です。数百円程度でほとんど無視できる金額ですが、法務局が遠い場合は多少かさむこともあります。司法書士に依頼する場合、これらの実費が報酬に含まれているかは事務所によって異なるため、見積もり時に確認しておくと安心です。これらを合計すると、自分で申請する場合は登録免許税を中心に1万円台、司法書士に依頼する場合は数万円程度が目安となります。役員住所の変更登記を司法書士に依頼する場合の報酬額司法書士への報酬は、法律で一律に決まっているわけではなく、事務所ごとに自由に設定されています。相場を知る参考になるのが、日本司法書士会連合会が公表している「報酬アンケート結果」です。このアンケートには「役員住所変更」単独の項目はありませんが、手続きが近い「役員変更」の登記が掲載されており、全国平均の報酬額はおおむね3万円前後、実際の事務所のWebサイトでもおおむね2〜3万円程度となっているケースが多く見られます。ただし、役員変更のアンケート事例は「取締役3名・代表取締役1名・監査役1名の改選」といった複数名の変更を想定したものです。役員住所の変更登記は議事録も不要なシンプルな手続きであるため、これよりも報酬は低くなるのが一般的です。実務上は、おおむね1万円〜2万円程度を目安と考えておくとよいでしょう。これに登録免許税(1万円)や郵送費などの実費を合わせると、司法書士に依頼した場合の総額は2万円〜3万円台に収まることが多いと考えられます。地域や事務所、依頼内容の複雑さ(本店移転を同時に行うなど)によって金額は変動するため、正確な費用は事前に見積もりを取って確認しましょう。複数の事務所に相見積もりを依頼すると、報酬に実費が含まれているかどうかなど比較しやすくなります。なお、本店移転と代表取締役の住所変更を同時に申請する場合は、それぞれに登録免許税と司法書士報酬が発生するため、合計額は上記より高くなります。手続きをまとめて依頼できる分、別々に申請するよりもトータルの手間は抑えられることが多いです。司法書士への依頼と自分でやる場合の比較役員住所の変更登記には、大きく分けて「司法書士に依頼する」「オンラインサービスを使って自分で申請する」「すべて自分で調べて申請する」の3つの方法があります。費用・手間・時間の観点で比較すると次のようになります。比較項目司法書士に依頼GVA 法人登記すべて自分で申請費用の目安(報酬・利用料)1〜2万円程度7,500円〜0円登録免許税1万円(資本金1億円以下)1万円(資本金1億円以下)1万円(資本金1億円以下)難易度非常に低い(丸投げ可)低い(画面に従うだけ)高い(要登記知識)手間事務所探し・やりとりが必要フォーム入力のみ調査・作成をすべて自分で補正対応司法書士が対応サポートあり自分で対応司法書士に依頼すれば手続きを丸ごと任せられる安心感がありますが、その分費用は高くなります。一方、すべて自分で行えば報酬はかかりませんが、登記知識が必要で、書類に不備があれば補正対応も自分で行うことになります。費用と手間のバランスを取りたい場合は、オンラインサービスの活用が現実的な選択肢になります。GVA 法人登記で役員住所の変更登記の必要書類を自分で作成GVA 法人登記なら、変更したい情報を入力することで登記申請書やその他の添付書類などの必要書類を作成し、自分で準備できます。株式会社の代表取締役、合同会社の代表社員、有限会社の取締役、いずれの法人種類の役員住所変更にも対応しています。登記知識がなくても、画面の案内に沿って新しい住所などを入力するだけで書類が完成するため、はじめての方でも安心です。さらに、郵送申請や登記簿謄本の取得、収入印紙の購入をサポートするオプションも充実しています。手間や時間、費用のバランスを取りながら確実に登記申請したい方におすすめのサービスです。役員の住所変更登記は、シンプルなだけに放置せず、期限内に確実に済ませることが大切です。司法書士への依頼と自分での申請、それぞれのメリットを比較しながら、自分に合った方法を選びましょう。