有限会社(特例有限会社)は、2006年の会社法施行以降は新規設立ができなくなりましたが、それ以前に設立された有限会社は株式会社の一類型として現在も存続しています。役員に任期がないなど、株式会社と比べると変更登記が発生する頻度は少ないものの、役員変更・本店移転・商号変更・目的変更が生じた場合には、他の法人と同様に法務局への登記申請が必要です。本記事では、有限会社において発生しやすい主要な変更登記として、役員変更(住所変更を含む)・本店移転・商号変更・目的変更を取り上げ、それぞれの手続きの流れと必要書類を解説します。頻度が少ないだけにいざというときに迷うこともある手続きなので事前確認にお役立てください。有限会社でも変更登記は発生することに注意有限会社(特例有限会社)は、取締役の任期がなく、役員の重任登記が不要であるなど、株式会社と比べて変更登記が生じる機会は少ない会社形態です。しかし、役員の就任・辞任・住所変更、本店所在地の移転、商号(社名)の変更、事業目的の変更などが生じた場合には、変更から2週間以内に法務局への登記申請が義務付けられています。有限会社における主要な登記申請である、役員変更・本店移転・商号変更・目的変更の各登記について、手続きの流れと必要書類をまとめて解説します。役員変更(役員の就任・辞任と住所変更)就任・辞任の場合有限会社の役員(取締役・監査役)が新たに就任する、あるいは辞任・退任する場合、役員変更登記が必要です。手続きの流れ株主総会を開催し役員変更を決議する 有限会社も現在は株式会社の一類型であるため、役員の選任は株主総会の普通決議による必要があります。就任の場合は決議後に本人の就任承諾を得ます。辞任の場合は辞任の意思が会社に到達した日が変更日となるため辞任自体の決議は不要です。議事録・必要書類を作成する 株主総会議事録をはじめとした添付書類を用意します。管轄法務局に登記申請する 変更が生じた日から2週間以内に申請します。必要書類(就任の場合)登記申請書(会社実印を押印)株主総会議事録株主リスト(議決権数上位10名または議決権割合2/3に達するまでの株主)就任承諾書(就任者の個人実印を押印)印鑑証明書(就任者のもの)委任状(司法書士等に依頼する場合)登録免許税:資本金1億円以下の場合は1万円、1億円超の場合は3万円。辞任の場合は就任承諾書・印鑑証明書が不要となり、代わりに辞任届(辞任者の署名・捺印)が必要になります。役員の住所変更の場合有限会社は株式会社と異なり、代表取締役だけでなく取締役全員の住所が登記事項として登記事項証明書に記載されます。そのため、取締役が引っ越した際には、その役員の住所変更登記も必要です。手続きの流れ住所変更が発生する(転居等)登記申請書・必要書類を作成する変更日から2週間以内に法務局へ申請する必要書類登記申請書委任状(司法書士等に依頼する場合)登録免許税:資本金1億円以下の場合は1万円、1億円超の場合は3万円。なお、代表者の自宅を本店所在地としている有限会社では、転居の際に役員住所変更登記と本店移転登記の両方が同時に必要になるケースがあります。その場合はまとめて申請も可能です。本店移転本店移転登記は、移転先が現在の管轄法務局の管轄内か管轄外かによって、手続き・費用が異なります。管轄内移転の場合同一の法務局の管轄内に移転する場合は、手続きが比較的シンプルです。手続きの流れ定款の確認・株主総会の開催 定款に具体的な住所(番地まで)が記載されている場合は定款変更が必要なため、株主総会の特別決議を経ます。最小行政区画(「○○市」等)のみ記載されている場合で移転先が同一区画内であれば定款変更不要です。取締役の決定書または株主総会議事録の作成管轄法務局に登記申請必要書類登記申請書株主総会議事録(定款変更が必要な場合)取締役決定書(定款変更不要の場合)株主リスト(株主総会を開催した場合)委任状(司法書士等に依頼する場合)登録免許税:3万円管轄外移転の場合現在の法務局の管轄外の住所に移転する場合は、移転前の管轄法務局宛てに2通の申請書(旧管轄分・新管轄分)を同時に提出します。手続きの流れ株主総会の開催・定款変更決議(管轄外移転は原則として定款変更が必要)登記申請書を2通作成し、旧管轄法務局へ提出必要書類登記申請書(旧管轄・新管轄それぞれ1通)株主総会議事録取締役決定書(省略できるケースも)株主リスト委任状(司法書士等に依頼する場合)登録免許税:合計6万円(旧管轄・新管轄それぞれ3万円)管轄外移転後は新たに印鑑カードの交付申請も必要です。また、税務署・都道府県税事務所・年金事務所など、登記以外の届出先も複数あるため、移転後の手続きも忘れずに対応しましょう。商号変更商号(社名)を変更する場合、株主総会で定款変更の決議を行い、その後に登記申請が必要です。なお、ここでいう商号変更は、社名の文字を変えるものであり、有限会社から株式会社へ会社種類を変える「商号変更による株式会社設立」とは別の手続きです。手続きの流れ株主総会で定款変更を決議する 商号変更は定款変更を伴うため、株主総会の特別決議が必要です。決議後に議事録を作成します。法務局に変更登記を申請する 変更後2週間以内に申請します。必要書類登記申請書株主総会議事録株主リスト委任状(司法書士等に依頼する場合)登録免許税:3万円商号変更後は、取引先・金融機関・各種契約書類への社名変更連絡など、登記以外の手続きも多数発生します。社名変更のお知らせを取引先に送付するタイミングや方法も、事前に計画しておくとスムーズです。目的変更事業目的(会社が行う事業の内容)を追加・変更・削除する場合も、定款変更を伴うため登記申請が必要です。新しい事業に参入するタイミングや、許認可申請のために目的を追加する場面などで発生します。手続きの流れ新しい目的の内容を確定する 目的は「適法・明確・営利性」の要件を満たす必要があります。許認可が必要な業種(建設業・宅建業など)では、目的に該当する記載がなければ許認可を受けられないため、許認可要件も事前に確認しましょう。株主総会で定款変更を決議する 目的変更も定款変更にあたるため、株主総会の特別決議が必要です。決議後に議事録を作成します。法務局に変更登記を申請する 変更後2週間以内に申請します。必要書類登記申請書株主総会議事録株主リスト委任状(司法書士等に依頼する場合)登録免許税:3万円なお、商号変更と目的変更を同時に申請する場合でも、登録免許税は3万円のみで済む場合があります(定款変更を1回の株主総会で決議した場合)。両方の変更が同時期に生じているケースでは、まとめて申請することでコストを抑えられます。GVA 法人登記で有限会社の各種登記申請書類を自分で作成GVA 法人登記なら、本記事で紹介した有限会社の各種登記申請(役員変更・役員住所変更・本店移転・商号変更・目的変更)の必要書類を自分で作成し、登記申請できます。有限会社だけでなく、株式会社・合同会社・一般社団法人にも対応しています。変更したい情報を画面の案内に沿って入力するだけで、登記申請書・議事録・就任承諾書・株主リストなどの必要書類一式が自動作成されます。郵送申請や登記簿謄本の取得、収入印紙の購入をサポートするオプションも充実しており、法務局に行かずに手続きを完結させることも可能です。有限会社特有のルール(取締役全員の住所登記など)にも完全対応しているため、「株式会社向けの書類になってしまってないか」と確認しながら作成する手間もかかりません。手間・時間・費用のバランスを取りながら確実に登記申請したい方にぜひご活用ください。⇒ GVA 法人登記を利用して有限会社の登記申請書類を作成する