スタートアップ企業を経営していく中で、法務局での登記手続きや金融機関での口座開設など、さまざまな場面で「定款(ていかん)」の提出を求められることがあります。その際、単なるコピーの提出ではなく「定款の原本証明をつけてください」と指示されることが少なくありません。会社設立や各種登記の手続きを初めて行う起業家にとって、「原本証明とは具体的に何をすればいいのか?」「どのように書けば法的に有効なのか?」といった疑問は尽きないでしょう。とくにスタートアップの場合、資金調達や許認可申請のスケジュールがタイトなことも多く、書類の不備による差し戻しは避けたいところです。本記事では、スタートアップ企業の支援実績が豊富な会社法・法人登記の専門家が、定款の原本証明の基本知識から、法務局への具体的な提出方法、正しい書き方までを徹底解説します。さらに、コストを抑えて自分でスピーディに登記申請を行いたい方向けに、無料ダウンロードできる「GVA 法人議事録のテンプレート」や、オンライン登記サービスもあわせてご紹介します。定款の原本証明の基本知識ここでは、定款の原本証明とは何か、その意味や必要になる場面、そして具体的な作成方法・書き方について解説します。会社設立や各種登記で使うための基礎知識として、しっかりと把握しておきましょう。定款の原本証明とは?その意味と役割定款の原本証明とは、定款のコピーが原本と同じ内容であることを証明する手続きです。会社の「憲法」とも呼ばれる定款の原本は、会社法によって本店(および支店)に備え置くことが義務付けられています。そのため、行政機関や金融機関での手続きにおいて定款の提出が求められた際、会社に保管してある原本そのものを提出してしまうと、手元に定款がなくなってしまい法律違反の状態になりかねません。そこで、定款をコピーして提出することになるのですが、単なるコピーでは「後から都合よく改ざんされていないか」「本当にこれが最新のルールなのか」を第三者が客観的に確認できません。そのため、会社の代表者が「このコピーは間違いなく会社の定款の原本と相違ありません」と公的に宣言し、代表者印を押印する手続きが必要となります。この一連の手続きを「原本証明」と呼びます。「原始定款」と「現行定款」の違い原本証明を行うにあたり、手元の定款が最新のものであるかを確認する必要があります。定款には、大きく分けて以下の2つの状態があります。会社設立時から変更がなければ「原始定款」、変更が加えられていれば最新の「現行定款」を使用します。原始定款:会社設立時に作成し、公証役場で公証人の認証を受けた最初の定款です。現行定款:会社設立後、株主総会の特別決議などを経て内容(商号、目的、本店所在地、役員の任期など)が変更された後の、現在有効な最新の定款です。設立後から一度も定款変更を行っていない場合は、「原始定款=現行定款」となりますので、設立時の定款のコピーに原本証明を行います。変更履歴があるにもかかわらず古い定款を提出してしまうと、手続きがストップしてしまうため注意しましょう。定款の原本証明が必要になる場面定款の原本証明は、会社のルールや実態を第三者に証明するために、以下のような幅広い場面で提出が求められます。法務局での各種登記手続き(役員変更、本店移転、目的変更など)金融機関での法人口座開設や融資の申し込み(マネーロンダリング対策や反社会的勢力の排除の観点から、厳格に事業目的などが確認されます)行政機関での許認可申請(建設業、宅建業、人材派遣業など、事業目的に特定の記載があるかを確認するため)国や自治体の助成金・補助金申請(企業の要件を満たしているかの証明として)定款の原本証明の作成方法と書き方それでは、実際に原本証明付きの定款を作成する手順を解説します。基本的な作成手順は以下の通りです。コピーの準備: 現行の定款をA4サイズで白黒コピーします。 (※A4サイズは公的機関に提出する書類の標準サイズです。文字が潰れないよう鮮明にコピーしましょう。)製本: 左側2か所をホチキスでとめます。契印: 全ての綴じ目に会社の代表者印で契印をします(袋とじをする場合は表紙部分の契印でも問題ありません)。 (※見開きにした際、両ページにまたがるように印鑑を押すことで、ページの差し替えや抜き取りを防ぎます。)原本証明の記載: 最後のページの余白や裏面に、原本証明の文言を記載します。押印: 代表者印を押印します。 (※個人の実印ではなく、法務局に登録している会社の実印を使用します。)原本証明の記載例定款の最後のページの余白や裏面に以下の文言を追加します。上記定款は原本と相違ないことを証明します。 令和〇年〇月〇日 東京都〇〇区〇〇1-1-1 株式会社〇〇〇〇〇 代表取締役 〇〇 〇〇 (印)証明文や日付、住所・会社名・代表者名の部分はゴム印や印字でも差し支えありませんが、提出先によっては代表者の直筆での署名を求められることもあるため、事前に確認することをおすすめします。特に金融機関など独自の厳格なルールを設けている場合は注意が必要です。法務局での登記申請に必要な書類会社の登記事項に変更が生じた場合、本店移転や役員変更などの変更登記申請を原則として2週間以内に行う必要があります。ここでは、法務局への登記申請で定款が必要なケースや、申請時の添付書類・書式・注意点について解説します。法務局への提出が必要になるケース法人登記申請手続きにおいて、代表取締役の選定機関や取締役会の書面決議の可否などが定款に定められていることを証明するために、定款の提出が必要になる場合があります。この際に提出する定款には、原本証明が求められます。具体的には以下のようなケースで定款の添付が求められます。取締役会の書面決議(みなし決議)を行った場合:会社法第370条に基づき、取締役会を実際に開催せず書面や電磁的記録で決議を省略するためには、その旨が定款に定められている必要があります。それを証明するために定款を添付します。代表取締役の選定方法を証明する場合:取締役会非設置会社において、取締役の互選によって代表取締役を定めた場合、その互選規定が定款にあることを証明するために提出します。監査役の監査範囲を限定している場合:非公開会社において、監査役の権限を会計監査のみに限定する旨の定款の定めがあることを証明する場合などです。申請時の添付書類・書式・注意点法務局へ登記申請を行う際は、定款の他にも登記申請書本体や、株主総会議事録、取締役会議事録、就任承諾書、印鑑証明書など、変更内容に応じたさまざまな添付書類が必要になります。法務局の公式ウェブサイトなどには各種案内や様式が掲載されていますので、指定のフォーマットに沿って作成することが求められます。※なお、法務局等では添付書類への押印について見直しを行っており、法令上押印が義務付けられていない書類に関しては押印の有無を問わないケースも増えてきています。実際の提出時には、管轄の法務局の指示をしっかりと確認して作成してください。迷った場合は実務上の安全を期して、これまで通り代表者印を押印しておくのも一つの確実な方法です。自分で登記申請するために!無料ダウンロードできるGVA 法人議事録のテンプレート会社の変更登記を専門家に依頼せず自分で行う場合、登記申請書だけでなく、添付書類となる「株主総会議事録」や「取締役会議事録」の作成が大きなハードルとなります。法律の要件を満たした議事録をゼロから作成するのは、専門知識がないと非常に困難です。自分で登記申請するために、無料ダウンロードできるGVA 法人議事録のテンプレートを紹介します。 各種登記手続きや会社法で定められた要件を満たしたフォーマットが豊富に用意されており、必要事項を穴埋めするだけでプロレベルの正確な議事録が簡単に完成します。書類作成の時間を大幅にショートカットできるため、ぜひ活用してください。GVA 法人議事録自分でスピーディに変更登記を申請するならGVA 法人登記スタートアップやベンチャー企業にとって、ビジネスの成長スピードは何よりも重要です。役員の変更、資金調達による資本金の増加、オフィス移転に伴う本店移転など、会社が成長する過程では幾度となく「変更登記」の手続きが発生します。 しかし、その都度、複雑な申請書類を調べながら作成し、法務局に出向くのは、本来注力すべき事業成長のための時間を奪うことになります。かといって、毎回専門家に依頼すると、数万円から十数万円のコストがかさみ、資金繰りにシビアなスタートアップにとっては痛手です。そこでおすすめなのが、Web上で必要な情報を入力するだけで、誰でも簡単に登記申請書類を作成できるクラウドサービス「GVA 法人登記」です。スピーディな登記申請においてGVA 法人登記を利用するメリットを以下にリストアップします。専門家との打ち合わせが不要オプション使えば法務局に行くのは不要印紙も買える(手配の手間を削減)圧倒的なコストパフォーマンススタートアップ企業にとって、バックオフィス業務の効率化は必要不可欠です。定款の原本証明の正しい作成方法などの基本を押さえつつ、手間のかかる登記手続きは「GVA 法人登記」のような便利なサービスを賢く活用し、スピーディかつコスト効率よく乗り切りましょう。